ごあいさつ

「あたたかな急性期病院」とはなんだろう。

例えば「自分の夫が癌になった…」。そんなとき、その病気を治すための最善の医療として高度医療や救急といった急性期の医療に諏訪中央病院は力を注いできました。

しかし、大切なことはそれだけではありません。万が一良くならない場合も「じゃあ次の手はなんだろう」と“見捨てない医療”を続けます。「もうだめだ」とは、諏訪中央病院は思いません。苦痛を取り除く緩和医療や、「家にいたい」という方のための在宅医療という選択もできるようにサポートシステムを充実させてきたのです。

名誉院長 鎌田 實

脳卒中で倒れても、「最期まで食べていたい」という人には、医師だけでなく言語療法士や管理栄養士といったスタッフが、どうやったら食べられるかを全力でサポートします。「もう動けない」という人が、理学療法士や看護師と一緒になってリハビリを続け、立ちあがり、歩けるようになって退院したりすることもあります。

この40数年間、地域の人達と一緒になって、いのちをとり止めるだけではなく、社会にニコニコしながら復帰できていくように、いのちを救い、いのちを支え、いのちを最後まで見放さない“あたたかい医療”というものを、諏訪中央病院は続けてきました。

また諏訪中央病院はできるだけ透明性を高める努力をしてきています。例えば、セカンドオピニオンだろうがサードオピニオンだろうが、希望されれば紹介状を書くだけでなくレントゲンも貸し出すし、医師同士で話し合うこともあります。患者さんにとって一番いい方法、一番いい場所を探すことのお手伝いをすることも諏訪中央病院はオープンマインドでしています。

ここ数年は研修医も全国から多く集まるようになっています。すると地域の住民の皆様が若い医師のために色とりどりの郷土食を作って歓迎会を開いてくれます。こんなすごい経験は、日本中の研修病院をみてもまずありません。こういったことを当たり前のようにやってくれる住民力が伴うことで、若手の医師だけでなくベテランの専門医が集まってくれる好循環を生んでいるのです。そんな住民力とベテランの医師、そして若手の医師がいることのハーモニーが地域の健康やいのちを守る上でとても大事だと思っています。

患者さんが遠慮することなく、できるだけその人らしくいられるように最善の医療でお手伝いができる。そういう病院を目指してきましたが、やっとひとつのカタチになり始めました。新しい医療を新しい器でさらに発展していくように、ぜひ一緒に、さらに諏訪中央病院を自分たちの病院だと思って応援しながら、あたたかく見守っていただけるとありがたいです。


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