2016.09.11
毎月第1日曜日の長野日報 朝刊で、
当院のスタッフによるリレー形式のコラムが始まりました!
月1回の連載ですが、当院スタッフが、~あたたかな医療をめざして~
というテーマのもと、様々な話題をお届けしていきます!
「おらほの病院」と題したコラムの記念すべき第1回(9月4日掲載)は、
4月から産婦人科で勤務する鈴木靖子医師によるものです。
ご覧になれなかった方は、ぜひ以下よりご一読ください!
(出典:長野日報9月4日(日)掲載分(転載の許可を得ています))
諏訪中央病院リレーコラム
おらほの病院 ~あたたかな医療をめざして~ 第1回
「お産と御柱 ~その意外な共通点~」
産婦人科医長 鈴木靖子
新コラムの第1回は、4月に茅野市に移住してきたばかりの産婦人科医が語らせていただきます。
4月はこの地域は御柱祭の真っ最中。そのお祭りを目の当たりにして、お産と御柱の共通点に気が付きました。それは何かと申しますと・・・
女性であっても敷居が高いと感じる産婦人科では毎日のようにお産があり、それが日常ですが、一般の女性にとっては自分のお産は長い一生に多くて数回の経験で、それを支える夫や家族にとってもめったにないイベントです。
そしてお産にとってその3つが揃わないと上手くいかない『分娩の3要素』というものがあるのですが、それは何でしょうか?
答えは『産道』『娩出物』『娩出力』の3つです。
お産のときは、10カ月という長い準備期間のあと、産道という狭い道を回ったり曲がったりしながら赤ちゃんや羊水、胎盤(=娩出物)が、陣痛という子宮の収縮力やおかあさんのいきみの力(=娩出力)によって外の世界に押し出されます。
これって、御柱祭と似ていませんか?『御柱街道』と『御柱』と『人力』。この3つの要素を長い時間かけて準備して整え、いざ本番!!ってところ。御柱も、御柱街道を回ったり曲がったりしながら人力で神の領域を目指しますよね。
お産の「いざ本番」は、お産なんて自分に出来るのだろうか?一体どうやって?と思っていても待ったなしで自然にやってきます。
そして本番。
「少しずつだけど赤ちゃんが産道を進んでますよ」「お母さんと赤ちゃん頑張ってますよ」と伝えても、ご主人やお義母さまから「もういい加減時間がかかっているから帝王切開にできないんですか?」といわれることがあります。御柱でいうと「トラックで運んでクレーンで柱建てたら早いんじゃないですか?」といわれる感じですね。つい「お産はそういうものじゃないんですよ」と言いたくなってしまいます。
『人力』が御柱を神にするのと同じで、『娩出力』につながる陣痛は、まさに《神通》力だなあとつくづくありがたく思うきょうこの頃です。
次回は、お産の応援団についてお話します。さあ、お父さん、おばあちゃん、出番ですよ!
=毎月第1日曜日掲載、次回は10月2日予定