ごあいさつ

ごあいさつ

 2024年4月1日、病院長に就任いたしました佐藤泰吾と申します。組合立諏訪中央病院には2005年1月から2021年3月までの約16年間勤務させていただきました。その間に長野県厚生農業協同組合連合会、富士見高原医療福祉センターへの派遣勤務(2017年8月~2018年7月までの1年間)を経験し、2021年4月から2024年3月までは、茅野市に隣接した長和町にある長和町・上田市組合立国保依田窪病院で勤務させていただきました。諏訪中央病院がおかれている歴史的、地理的、社会的背景を外側からみる貴重な経験を持つことができました。そのような経験を踏まえ、再び諏訪中央病院で仕事ができる喜びと重責を感じております。八ヶ岳西麓地域住民の皆様、八ヶ岳西麓地域の医療福祉施設関連の皆様、そして諏訪中央病院組合職員の皆様と力をあわせ、「社会的共通資本」としての医療を守り、育んでまいりたいと思います。


院長 佐藤 泰吾

社会的共通資本と諏訪中央病院の基本理念

 「社会的共通資本」とは、経済学者の宇沢弘文氏(1928-2014年)が提唱した概念です。「すべての人びとが、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力のある社会の安定的な維持を可能にする自然環境と社会的装置」のことで、自然環境(大気、水、森林など)、社会的インフラストラクチャー(交通機関、上下水道など)、制度資本(教育、医療など)に分けられます。組合立諏訪中央病院が守るべきものも、社会的共通資本としての医療です。「やさしく、あたたかい、たしかな医療を目指す」ことを基本理念とし、「あたたかな急性期病院」をスローガンに八ヶ岳西麓における社会的共通資本としての医療を守り、よりよいものにすべく取り組んでまいりたいと考えております。


「八ヶ岳西麓」における「あたたかな急性期病院」

 「あたたかな急性期病院」は濵口實名誉院長が病院長であった時代から諏訪中央病院が掲げてきたスローガンです。「救急、急性期医療をしっかり提供し、命を守ること。そして緩和ケア、在宅ケアを行って、看取りまでしっかりと診ること」が我々の大切な使命であると、濱口實名誉院長は述べています。私自身もひとりの医師として、このスローガンのもと、この地域、この病院で職業人として育てられてきました。八ヶ岳西麓で生活する人が、生活のなかで病を抱えたとき、その人がかかえる時間の流れを大切にし、そのつど必要な医療を提供すること。そのことを通じて生活をする人々を支えることの大切さを教えられてきました。「八ヶ岳西麓」という言葉で、私達が支えるべき生活圏を示してくれたのは吉澤徹名誉院長(前院長)です。行政単位で線引きされた範囲ではなく、八ヶ岳西麓という自然環境を基盤とした生活圏を念頭におき、様々なありようで生活する人々を支える仕事に、多くの人々と協力しながら取り組むことの大切さを教えられました。

諏訪中央病院の果たすべき役割

 諏訪中央病院は、一般急性期病床、地域包括ケア病床、回復期リハビリテーション病床、医療療養型病床、緩和ケア病床を有し、救急から在宅までを診ていくことができるケアミックス病院として二次医療体制を担っております。地域のニーズに対応した中核病院として必要とされる医療提供体制を維持・発展させてきました。2023年度から5年間のプランとして、以下の項目を諏訪中央病院が果たすべき役割として掲げております。

 ・八ヶ岳西麓の救急医療・がん診療を担うこと
 ・高齢者に多い整形外科領域や複数疾患をもつ患者への適切な医療提供
 ・在宅復帰に向けたリハビリテーション医療の充実
 ・安心して子供を出産し、育てられるよう小児医療と分娩体制の維持を図ること
 ・高度医療が可能な機器導入と医療体制の拡充により、当院としての新たな先進医療への取り組みに着手する
  とともに、それに伴う医療収益の安定的確保を目指す。

 なかでも高齢者救急医療は、少子高齢化・人口減少がすすむ社会のなかで、時代の大きな課題です。この課題は、「八ヶ岳西麓」の「あたたかな急性期病院」として、特に真摯に取り組むべき課題だと考えております。「病院への入口を快く、病院からの出口を丁寧に」対応できる組織を目指してまいります。


現代社会が抱える問題の中で

 現代社会が抱える問題のひとつに、少子高齢化・人口減少があります。少子高齢化・人口減少がすすむなかで、我々の社会も大きく変化していきます。社会的共通資本としての医療を守るために、諏訪中央病院も大切なものを守りながら、変わり続けなければなりません。そして近隣診療所の皆様、地域の病院・諸施設の皆様とも、より緊密な連携をとりながら前に進んでいくことが求められます。
 2024年度から諏訪中央病院組合は今井拓統括院長のもと、諏訪中央病院、介護老人保健施設「やすらぎの丘」、介護老人福祉施設「ふれあいの里」、諏訪中央病院看護専門学校、国保診療所群(リバーサイドクリニック、北山診療所、泉野診療所)のそれぞれが連携し、組織を運営する新体制に変わります。新しい体制のなかで、諏訪中央病院院長としての職責を果たし、いままでの諏訪中央病院組合職員が成し遂げてきた地域医療の伝統と実績を継承してまいります。そして現在と未来の変わりゆく社会のなかで、様々な困難を発展的に乗り越え、社会的共通資本としての医療を構想し、実践していく所存です。

 今後とも皆様のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

令和6年4月 諏訪中央病院 院長 佐藤 泰吾


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